今年最初の釣りは何処にしようか。
道南の後志利別川、松前の海岸、島牧、瀬棚。
思い切って漁港のホッケ釣りも自分らしくてなかなかのへそ曲がり。
道東の別寒辺牛川、十勝川もそろそろか。
この数年のこれらのフィールドがフィッシングシーズンスタートとなっている。
そんな時にちょっと用事ができて北見方面へ行くことになった。
そっち方面は湧別川とすぐに浮かぶが、4月ともなれば雪代真っ盛りで泥川だ。
教えてくれた故西川氏の顔がボンヤリ浮かぶ。
そろそろ1年だね・・・そちらの国の川や湖はどんな感じだろうか。
用事の一つ、お会いする方も釣り人なので聞いてみると網走川とすぐに回答があった。
おお、それは新しい提案とばかりに食いついた。
ポイントを調べていざ北見へ。
会うなり、雪代で駄目だわ!
まぁそんなものです・・ある程度想定内かな。
となれば釣りの徘徊ルートは決まったも同然。
まずは塘路湖、翌日は別寒辺牛川、翌々日は奥の沼。
UターンしてKSCOをチェック・・・釧路、庶路、茶路、音別それぞれの川のイニシャルをとってKSCOケスコと呼ぶことにしました。
おそらくそこでは釣りはしないと思う・・でラストは十勝川で締める。
ところが美幌峠から見えた屈斜路湖はまだ凍っていました。
確かに晴れてはいるけれど風も冷たく車の温度計も時々マイナス警報を出すし。
もしかするとこれは塘路湖も凍っているんじゃないか?と思ってレイクハウスに電話するも不在・・やっぱり駄目だなと判断。
一気に別寒辺牛川を目指すことにした。
道の駅で仮眠をとって・・あくまで仮眠です、車中泊ではありませんぞ
下げ時間を確認しつつのんびりと別寒辺牛川へ9時前に到着。
釣りと思われる車の数は3台・・平日だし地元の方はお仕事準備ですでに帰宅したのかな。
駐車場所からいつもの鉄路に掛かる橋までは遠かったので近くの橋を抜けることにした。
新しいルートは危険がいっぱいでどこが泥濘でどこがドン深なのかはわからないのでスリリング。
胸まで漬かって水路を抜けて何とかいつものポイントへ。
釣り人は4名とカヌーが1艇3名乗り。
落ち始めは10時頃なのでのんびりと準備をしていると風が吹き出した。
持参したのは9フィートバンブースイッチ5/6番とカーボン11フィートスイッチ5/6番
海側からの風なので厳しいかな?
キャスト下手の老人のくせにタックルは軽めを選んでしまう。
重くて長いのは2時間もすれば疲れて帰りたくなるのでライトタックルがイイのだが・・風には弱い。
まぁ秘密兵器も隠し持っているので何とかなるでしょう。
釣りだして2時間、何のコンタクトもないままに時は過ぎた。
知床方面から来たというダブルハンド釣り師としばし会話。
「1本出ましたが遠いですね」
遠いのね・・道理で近くは何もないわけだ。
海藻なのか牧草なのかわからないが草がとにかくフライに絡む・・同じ色だからこれは自分でも気が付かない。
フライをチャートリュースに変えた。
ダブルハンド釣り師はどんどん河口へ方面へ釣り下って行った。
僕も少し下だった。
岸から20mは立ち込めた。
見ているとダブルハンドが大きく曲がってラインがきらきら光っていた。
大きなアメマスだったのだろう、岸へ寄って写真に収めていた。
河口も釣れだしたってことはここだって釣れるだろう・・そのうちに。
河口にいるのは2名、一人はルアーだから、自分が参加しても釣り場的には問題ないだろう。
数年前の自分ならば勇んで河口へ出向いていたことだろう。
だが老釣り師となった今の立ち位置はこの辺りがベストポイントなのだ。
ダブルハンド釣り師のロッドは時々曲がっていた。
爆釣ではないだろうがまずまずいい釣りなのではないだろうか。
飯を食ったり列車を撮影したりして1時近くになった。
そろそろお戻りの時間、じゃぁ最後に釣りましょうか・・
老人の釣りの見本のような自分を褒めてあげます。
そういえば必殺技を繰り出していなかったのを思い出した。
遠い鱒を自分の懐へ呼び込む必殺の技・・念力とでもいおうか
「俺だよおれ~、アメマス大好きな俺だよぉ~」
「バーブレスフックで痛くないし、すぐにリリースするよ~」
心の中で呪文のように唱えて足元の泥をグリグリして濁りの筋を流してゆく。
そこへフライラインを静かに送り込む・・なんじゃそれは。
グン!という手応えを感じてロッドを立てるとグリグリしたアメマスの感触が気持ちいい。
ほらね!・・サイズは問うまい・・しょぼくたってアメマス、別寒辺牛川のアメマス。
その後すぐにいい感じのバイトがあったがそれは乗せられなかった。
気が付くと後ろにダブルハンド釣り師。
「河口で6本釣れました、今年4月は毎週来るつもりなので今日は帰ります」
毎週来るんだぁ~・・いいなぁ
お別れを告げて帰るなどと言う弱い気持ちを捨ててあと1時間頑張ることにした。
僕は今日で今年の別寒辺牛川は終わりだし。
ドラマが待つ後編へ続く