僕のホームグランドは阿寒湖、阿寒川。
通い始めて25年ほどになる・・・まだまだ新参者だと思っていたけれど四半世紀なんだ。
そりゃ年を取るわけだ。
年々釣りへ行く場所は限られてくるというのか阿寒以外へ足を運ぶ機会が減っている。
それは釣り場の環境・・・自然も人的な要因も含めて・・自然の釣場の脆さと人間の傲慢さを肌で感じてしまうから。
阿寒湖へ逃げ込む、まさにそんな感じだ。
そして改めて釣り場としての阿寒湖、阿寒川に惚れ直しているところだ。
まぁそれはさておき、気になる釣り場がないわけではない。
特に僕の好きな道東の海岸線の原風景が広がる地域ではなおさらだ。
今回訪ねたのもそんな釣り場の一つ。
ナビを頼りにドライブするがスマホナビの道程案内はいささか不安になる。
着くまでは結構「本当にこれでいいの?」「なんか遠回りじゃないの?」と画面に何度も聞いていた。
ナビはきっと「これだからジジイは嫌なんだよね」と思っているだろうがそこは秘めて常にマイペースだ。
さて釣り場はこの数日の雨で濁っていた。
河口も近いので干満によっては相当にイメージが変わるだろうと思っていたがこの日はあまり差がなく水の多い状態だった。
アメマス狙いとしては必ずあるであろうライズに注目したが、
立ち込んでいた時に1回と日が落ちる前に見た対岸のライズくらいでその正体も掴めてはいない。
引っ張り釣りでは大きくて元気なウグイが2本釣れただけ。
しかし汽水域の鯎はなかなかのファイトをしてくれるので最後まで気を抜けなかった。
水面に顔が見えるとガッカリするのだがなぜか顔は笑っている。
「なんだよぉ~ウグイかよ」って文句たれも近頃は不思議といやな気がしない。
アメマス愛もウグイ愛も基本は同じと気が付いたのだろうか。
釣り場では意味もなくウグイを嫌う風潮は昔からあった。
あまりにも数が多く、すぐに釣れて、引きが弱く、ヒットしてもすぐ諦めて寄ってくる。
少し匂いがあって「ギュッ」と鳴くし、鰭も小さく寝ていて体のくびれが明確じゃなくて、口元が少しだらしない。
おまけに食っても大して美味くない。
鯎には鱒が備えるバランスの良い艶やかな色合いと引き締まった姿態がないのも小さくない理由だ。
だがそれは真実なのだろうか。
旨味に関していえば
東邦舘の館長はウグイは旨い魚だよって言います・・確かに東邦舘のおばぁちゃんもそう言って
「釣ったら持ってきなさいよ、美味しいの食べさせるよ」とよく言われたなぁ。
釣りたてとか一夜干しとか素材だけで美味い魚って一部の海の魚くらいなものだと思うし、
湖や川の魚は何かしらの料理技なくしてその美味さを知ることはないと思う。
僕が川魚の料理で美味いと思ったのは10㎝以下のヤマメの新仔の天ぷらと
太いヤツメをさばいて一夜干しにして甘辛いタレをつけて焼いたものくらいだ・・これは鰻を知るまでね(笑)
釣だってなにも釣れない汽水域などでは結構豪快なファイトを展開してくれる・・こともある。
何よりどんな水温や環境でも存在している強さや餌を追う姿勢は強欲な釣り師とどこか接点を感じる。
阿寒湖でもウグイは良く釣れる。
時には40㎝を超える大物だって釣れて最後の最後まで釣り師を興奮させることもある。
この初めての釣り場でウグイと対面して
もう少しだけウグイを別な目線で見つめてもいいのかな、と思った。
ウグイに陽の目を見せたって良いのではないか?
釣り特集に鯎の文字が光っても良いのではないか?
ウグイというネーミングが何やらよからぬイメージとして浸透しているのならば思い切って名前を変えてはどうか?
今回の釣りではウグイに癒されたのは間違いがない。
僕は帰りの車中で「癒します・・癒し鱒・・癒鱒」というネーミングを考えた。
どこかで誰かも考えたような陳腐なネーミングだがそこは許してほしい。
これからは皆さんも大きな声で「癒鱒」と読んでください。
川底が黒く見えるくらいに溜まっていたアメマスが姿を消すようになって10年くらいたつだろうか。
原因は定かではない・・というのは僕はその原因から目を背け真実を知ろうとしていないからだと思う。
地球の温暖化で海水温の上昇もそうだろうし、森林の減少や工事の土砂の流入などもその理由だろう。
鮭事業維持のために害魚として駆除の対象になっていると噂もされている。
僕は現実を知らなすぎる。
アメマスが減り続けることが改善されないとしたら、
同じようにウグイの未来も決して安らかではないのかも知れない。