冬から春にかけて酒は新酒の季節を迎える。
そして新酒の季節はにごり酒の季節でもある。
にごり酒は粗く越したもろみが酒の中に残っているので白濁している。
分離している酒瓶の中をゆっくり回転させて白く濁らせればそれはまるで純白のかまくらの中。
透明なグラスへ注ぎ口へ運ぶ。
鼻から抜ける香りと喉を溶かす春の味わい。
僕の好きなにごり酒は
朝日酒造久保田の純米吟醸にごり、麒麟山酒造の純米きりん山にごり。
一言で表すならばフルーティー・・とよく使われるフルーティー・・フルーツテイストなんだろうね。
甘さと酸味のバランスが良いことからこのような表現になるのだと思う。
久保田純米吟醸にごりのアルコール度数16度、きりん山にごりは14度と低めなのでグビグビ飲めちゃうから始末が悪い。
フルーティーなにごり酒とは少し違うテイストが菊水酒造の五郎八にごり酒だ。
度数も高め21度で濃厚でどっしりとした甘さが親父心を和ませてくれる・・俺って酒好き?と思わせてくれるのがウレシイ。
温暖化の影響なのだろう11月から始まる北海道の冬で最も雪が降るのが2月ではないかと思う。
12月や1月の雪は「また今年も来たね雪の季節」などと気持ちも優しく迎えることができる。
しかし2月のドカ雪は雪かきにも飽きてきて日々の作業で体もきつく感じる頃なので40㎝の雪予報なんか出た日には呪いの言葉しか出てこない。
ましてや我が町札〇市の市長さんはオリンピックで金を集めて札〇ドームの赤字を埋め合わせることしか頭になく、
高齢化している市民のための除雪や排せつの対応には全く興味のない方だから余計に呪いはひどくなる一方だ。
そんな忌々しい気持ちを「そろそろ雪も終わりだねぇ~、なんだか名残惜しくもあるねぇ~」などと気分をやんわりさせてくれるのがにごり酒なのである。
そしてにごり酒を呑みだすと僕の釣り心にも春がやってくる。
暖かい自室で白い酒を呑みながら目を閉じる。
残雪残る釣り場へのルートをゆっくり歩む老釣り師の後ろ姿が浮かぶ。
今年もフライフィッシングのスタートは道南の本流になるだろうか。
はたまた湖のサクラマスだろうか。
いやいや海のアメマスかもしれない。