阿寒川の釣りをしたときに「こういう楽しみ方もあったのか」と感じたバンブーロッドフライフィッシング!
中村ガイドが使っているのを見て「面白そう」って思ったのがきっかけで使い始めたバンブーロッド。
使ってみてわかる楽しみ、苦しみ、悩み・・ぜーんぶひっくるめて面白い道具です。
釣って楽しいバンブーロッドの話を会うたびにするものだから友人もスッカリその気になってショップのWEBサイトで見つけた、
OrvisのFleaをポチッと購入したが昨年。
体調不良もあってその年の秋の釣りは断念し、今年にかけた友人。
早くから予約をし、満を持して7月の半ばに釧路空港へ到着した。
勿論ミッションはOrvisのfleaで50アップのひれピン虹鱒を釣ること・・である。
初日は到着が夕方なので早めに両国で美味しい鹿ロースを食べる計画であったが・・
阿寒湖温泉が近づくと「阿寒川のホテル付近で少し試し振りをしたい」という友人のお願い。
僕は少し悪い予感がした・・なぜならこの友人、過去にもいろいろあったのだ。
どうも初日に張り切り過ぎてトラブルを招いてしまう運?を持っているようなのである。
そんな僕の予感は見事に当たってしまうのだった。
夕方4時少し前、釣り人駐車場に到着。
いそいそ準備をしてホテル上のカーブの上に入った。
そしてすぐに対岸の倒木付近で1本掛けたがバレてしまった友人、
少し下って瀬の中でキャストしてた時、「あぁっ」と声がした。
どうやら2ピースロッドのティップが抜けて飛んで行ったようで、フライラインを手繰り寄せていた。
すると「あれっ!」と大きな声がした。
近くへ寄ってどうしたのって聞くと「折れているよ」という。
飛んで行ったのはティップセクションが抜けたのではなくフェルール付近で折れていたからだった。
呆然自失の友人にかける言葉はなかった。
目的も期待も初日で終了、中村ガイドとの楽しいバンブーロッドフライフィッシングは夢とついえたのだ。
予備持参のグラスロッドでやればいいよね・・・友人は力なく笑った。
両国でのウエルカムディナーが重苦しい残念会、反省会となってしまったことは言うまでもない。
翌日、阿寒クラブはガイドがあったので友人とは別行動だった。
その日の夕食時に友人から今日の阿寒川ガイドのことを聴いた。
なんと事情を知った中村ガイドは惜しげもなく自分のコレクションから
OrvisのSevenfourを友人に与えてその日のガイドを無事に終えたのだった・・もちろん厳しくも楽しいガイドで。
4番7フィートのバンブーロッドで釣る阿寒川のひれピン虹鱒はとても楽しく素晴らしい釣りだったようでその日のワインはあっという間に空いてしまった。
そして話題は勿論バンブーロッド
さてバンブーロッドで釣りをすることの魅力とはなにか・・・僕には正直あまりわからない。
何故ならバンブーロッドに関しては2年の実釣経験しかないし、
阿寒湖、阿寒川というエリアが中心なので一般的な渓流や本流での釣り歴も少ないのでまだまだ経験不足。
だから魅力といっても上手く伝えられるないが一つだけ・・・30㎝も50㎝も同じように曲がって鱒とダイレクトに綱引きをしている感じが好きだ。
釣り歴は熟年世代に始めたとはいえすでに30年・・まぁそこそこ釣行数もあり、数を釣った経験も、大物を釣った経験も、そこそこ持ち合わせている・・判断の個人差はあるけれど。
しかしロッド・・タックル全般に対する興味がほとんどないまま初老を迎えた。
要は「釣れればいいんでしょ!」という考え方に長く支配されていた為だ。
釣り味とかには全く興味がないので釣ってはリリース釣ってはリリース、時間がすべて、みたいな釣。
それも面白いくらい釣れるのが北海道という地域だから自然だと思う。
流石に初老になってから釣行日数も減り、数を釣る!という意欲も大物を釣りたい!という欲も減り
1日数時間、楽しい釣り時が得られるとウレシイ!という感じになってきた中でのバンブーロッド。
幸いにして阿寒湖、阿寒川、釣れる鱒は総じて大きく元気である。
フライラインを通して右利きの僕の指先にまでビンビン伝わる鱒の生命感、
小指側の手のひらを通して腕に伝わるバイブレーション・・・もう最高なのである。
実はバンブーにはいろいろと制約も多い・・がそれはそれ後から体験しながら考えてもいいだろう。
もったいぶった書き方ではあるが実経験が一番・・・であるが一例こそがフェルールから折れてしまった友人のバンブーロッドなのである。
実は僕も今年春先にバンブースイッチを折っている。
使用していたフライライン、スカジットラインが高負荷でキャストが下手さを無理やり通していた報いなのだと思う。
あっさりと折れたバンブーを見て最初はフェルールが抜けたのだと思ったのは友人と同じ。
つまりバンブーはフェルール付近で良く折れるのである・・一つ賢くなりました。
そしてさらに解禁2日目の阿寒川でも4番バンブーロッドのフェルールが抜けてしまうアクシデントがあって、
そのまま釣りもせずに終了したこともあった。
カーボンロッドでは考えられないようなことが次々起こるのもバンブーロッド。
鱒を釣り続ければ竿先が曲がってゆく。
継ぎ目は緩くなったり締まったりとイライラする場面も多々ある。
中村ガイドに至っては釣っているときにグリップから折れたことがあるそうだ。
全然楽しそうじゃないじゃないか・・と思われるかもしれないが、
そこがまたなんとも例えようがない不思議な感覚によって補われているのもバンブーロッドなのである。
破損したら新しいのを買えばいいじゃないの、メーカーに出して交換してしまえばいいじゃない、という気分にはなれない。
自分でできるものなら自分で、そうでなければ製作者に頼んで、でなければ信頼できるお店で・・ともかく「それを」復活させたいのである。
まさに道具として、手足として、愛おしい「やつ」になってゆくのであった。
また1本1本作り手の気持ちが込められているという部分と製作された時代が色濃く竹竿に反映されていてそこを紐解くだけでも面白いという側面もある。
つまりはいろいろな歴史がそこに含まれている!ということなのだ。
H.L.レナード、マーク・アロナー、ポール・ヤング、F.E.トーマス、ジム・ペイン、エベレット・ギャリソン・・などなど一度は目にしたことがある、
歴史にその名を刻む偉大な職人とそれらを製造するものとしてR.L.Winston、オービス、
それぞれの歴史の上に成り立っているのがバンブーロッドなのである。
と「知ったかぶり」はここ迄。
まぁ騙されたと思って一度使ってみましょう・・特に歴史を感じることのできる古いもので今でも使える手入れが行き届いたものがイイだろう。
過去にそれらを使っていたベテランフライフィッシャーも加齢で釣りから離れる時にそれらを次世代へ繋げたいと思っている人も多く、
今結構ネットオークションなどでは出始めているように思う。
もちろんこれは熟年世代のフライフィッシャーマンに向けた投稿である。
それは釣果に縛られない釣りを楽しむゆとりがあった方がより楽しめると思うからだ。
若いフライフィッシャーマンがバンブーを使っても一向に構わないができれば手の中に歴史を感じるロッドであることを願う。
そしてこのバンブーロッドで釣るのは阿寒川の擦れたひれピン虹鱒であってほしい。